野球専門誌ベースボール・タイムズ 現地記者レポート#1

【新庄ファイターズ2年目はおとなしめ?キャンプ後半、レギュラー獲りへ誰が猛アピールするか】

 

コロナ前から担当している北海道日本ハムファイターズ・名護キャンプ取材へ、4年連続での訪問。沖縄・那覇空港に降り立ったのは2月3日。空港には、中日ドラゴンズ、横浜DeNAベイスターズのレプリカユニフォームを来たファンの姿が多く見られ、制限なしのキャンプを迎えていることを改めて実感させられた。

 

ファイターズのキャンプ地・タピックスタジアム名護へは、空港からクルマで1時間10分ほど。沖縄自動車道を通ると工事のため対面通行となる区間があるが、4年前からエリアを替えて行われていることもあり、まだ続いているんだと思ってしまった。

 

 

球場へ到着したのは13時すぎだ。昨年は、新庄剛志監督就任1年目のフィーバーもあり、入場制限がかかっているにもかかわらず、平日、休日問わず多くのファンの姿が見受けられた。今年は制限なしだったが昨年ほど大混雑ということはなかったが、多くのファンがメイン球場やサブグラウンドで練習に励む選手たちに熱い視線を送っていた。また、敷地内に並ぶ地元・飲食店の露店の数も増。制限なしのキャンプを戻ってきた印象を与えてくれた。

 

 

取材は、2月3日から8日までの6日間。その間、事前に申請していたインタビューなどもこなしながら、選手の練習をじっくりと見させてもらった。筆者が沖縄入りする前の2月1日に紅白戦が行われたこともあり、選手たちは例年以上に早い仕上がりとなっている印象は強かった。キャンプ初日に紅白戦が予定されたこともあり、インタビューをした選手たちは口をそろえて、紅白戦を意識した仕上げをしてきたとコメント。初日の紅白戦はテレビでの観戦だったが、打者陣は積極的で力強いバッティングが多く見られ、投手陣もキレのあるボールを投げていた印象を受けた。

 

 

今季、新庄監督はメンバーを固定して戦うことを示唆。昨年、首位打者を獲得し、今年から選手会長になった松本剛はほぼレギュラー間違いなしだが、それ以外の選手はキャンプ、オープン戦でどれだけアピールできるかがカギとなる。昨季キャリアハイの本塁打を記録した清宮幸太郎、4番候補として名前が上がる野村佑希も、レギュラー候補の筆頭に上がるが、結果が出なければ開幕スタメンも危うい。それは、本人たちも十分に理解しており、まずはケガなくキャンプ、オープン戦の期間を過ごして、レギュラーの座をつかみ取る意思を表している。とくに清宮は、昨季プロ入り後初の2ケタホームランを記録したことは自信につながっているはずだ。キャンプ序盤もバッティング練習では快音を響かせる場面は多くみられた。新球場「エスコンフィールド北海道」は、打者有利という噂もあり、長距離砲覚醒を印象付けるシーズンになるかもしれない。

 

 

投手陣では、開幕投手の加藤貴之、2年ぶりの2ケタ勝利を狙う・上沢直之、ルーキーイヤーから3年連続2ケタを目指す伊藤大海の3本柱は順調そのもの。その他の投手も一軍生き残りへ懸命な練習に励んでいたが、筆者は5年目の吉田輝星に期待したい。1年目に比べ、体は一回りも二回りも大きくなり、ブルペンでも力強いボールを投げ込んでいた。昨季は、主に中継ぎとして51試合に登板。防御率は4点台と決して満足のいくものではなかったが、シーズンを通して一軍に帯同したことは大きいはずだ。同学年で同期入団の野村が4番候補として注目されているだけに、吉田も飛躍を遂げる1年にしたいのは間違いないだろう。

 

 

新庄監督が「優勝しか狙わない」と宣言しているファイターズ。キャンプ後半の見どころは、対外試合で誰がアピールするか。誰にでもチャンスがある状況で、奮起する選手は誰かを予想しながら、ファンには試合を楽しんでもらいたい。

 

 

季刊『Baseball Times』担当・松野友克

 

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